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マイケル・スノウ展 パワープラント、トロント

今年81歳になるトロント出身のマイケル・スノウ(1929- )展が現在パワープラントギャラリーで開かれています。

マイケル・スノウについての私の知識は、今AGOでも展示されているWalking Womanを、以前どこかで見たなぁ、ぐらい。でもネットで調べてみると、情報はごろごろ、You Tubeもたくさん。Rogers Centreの横に飛び出してくる彫刻も、イートンセンター内の名物カナディアン・グースも彼のものだとか。そして彫刻家かとおもいきや、映像、音楽の作品にも秀でていて、説明によれば彼は「構造主義の映像作家の代表」だそうです。映像にもうとい私は映像での構造主義とは?というところからつまづいていますが、とりあえず現役大御所で、トロント出身で、最新個展ということなのでお勉強する気持ちでギャラリーに。本当はレセプションに行きたかったのですが、時間がとれず残念でした。

行って、見てみての感想は、さすが大物、どれも興味深いものばかりでした。

入ってすぐ3作の最新作が展示されていました。私が特によいと思ったのは「Piano Sculpture 2009」。四方の壁面にピアノとそれを演奏する人の手が見え、その上に重なるようにひとつづつスピーカーが置かれ音が出ているのですが、どの演奏も異なり、即興的に弾かれてはいますが、聴いている人の中では音が重なり四重奏となっていました。
前回のパワープラントの展示でも本物のピアノが自動演奏されるというものがあり、それも好きで記憶に残っています、単純にピアノの音というのは魅力的に感じるようです。
そのほかの新作は「Condensation」,「Serve, Deserve」でした。

そして横浜で開催されていたCREAM国際映像祭にも出展されていたという「SSHTOORRTY」もゆっくりと見れました。おもしろかった。

家に帰ってほかの作品も見てみたいとネットで探したら「La Région Centrale (1971) 」がありました。時間が長いのですべてを見るのは大変そうですが、一部分だけ見た感想は設定が非常に独特。山の上でカメラがぐるぐると滑らかにゆっくりと回転しながら自然の情景をひたすらうつしていく。みているうちに平衡感覚がなくなっていきました。

トロントは毎年国際映画祭があり、映像という分野に非常に強い基盤があるので、アートの世界でもスノウのような人が育っていったのかな、と思います。現在さまざまな映像作品が世界の展覧会でみられるようになっているので、トロントもその強さを生かしてすぐれた作家や作品を産み出せるようになっていったら、面白そうだと思います。
がんばれトロントアート界。

展覧会は3月10日まで。入場料は6ドル。毎週水曜日の17時から20時までが無料です。
# by thinkaboutart | 2009-12-17 12:03

ヴァニティ・フェア  ポートレイト展 カナダ、トロント

2009年12月14日
展覧会:『ヴァニティ・フェア  ポートレイト 1913年から2008年』
  Vanity Fair Portraits 1913-2008
開催:開催中~2010年1月3日まで

場所:ロイヤル・オンタリオ・美術館 ICC、トロント、カナダ
  Royal Ontario Museum, ICC

ロイヤル・オンタリオ美術館の新館4階で開催されている『ヴァニティ・フェア ポートレイト』展を見た。展覧会のことは街中の広告で知っていたが、そこで使われていたのがマドンナやライザ・ミネリなど超有名人の写真であったため、この展覧会は有名人好きが見るものだろうと勝手に思っていたが、実際見てみたらそんなことはすっかり忘れ、いい写真がたくさん見れたと満足して帰路についた。

そもそも私はアメリカのファッション誌については、高校生のころに姉がアメリカから注文していた『ヴォーグ』を読ませてもらっていたぐらいで、『ヴァニティ・フェア』もあまりよく知らなかった。トロントに住むようになり、書店で並んでいても単なるファッション誌だろうとしかおもっていなかった。この雑誌に掲載されている著名人の写真が、これほど質の高いものだとは思わなかったのだ。展覧会でみられる作品はライザ・ミネリが真剣な表情で身なりを整える一枚、ダイアナ妃の美しく自然な笑顔、印象派の画家アングルによる『グランド・オダリスク』をそのまま女優に真似させた一枚など、どれも画面からさまざまなストーリーを感じとることができる。物思いにふける悲劇王チャップリンの素顔、死の2ヶ月前に撮影された印象派の画家マネの横顔といった時代を感じさせるものもあった。黒いレース越しにチーターのような視線を投げかける女優の一枚は息を呑むほどの美しさで、しばらく作品の前で止まってしまった。雑誌と同時代を生きていた人々にとってはその人物の活動やエピソードなどが思い浮かばれ、より一層興味深いものであるに違いない。

これらをとっている多彩な写真家についてもキャプションに説明書きがあり、興味深かった。

見ているうちに画面の作りこみ方、衣装、ポーズ、体、表情、瞬間などの多様さが気になっていった。時代によって映す対象にポーズなど多くを求める写真家と、自然さを求める写真家などの違いがあるのだろうか、裸体が劇的に増える80年代から90年代はなにか社会的な運動と関係があるのだろうか、などといった疑問も沸き、20世紀の写真の歴史を一同に垣間見られたようなお得感もあった。今後もファッション誌に掲載されていく写真をもっと注意しながら見てみようと思った。

開催されているのは恐竜、中世の騎士、浮世絵などなんでもそろっているロイヤルオンタリオ美術館の新館4階のICC。ここでは現代美術の展覧会が定期的に企画展示されているのだが、今回はその展示方法も非常に気持ち良く感じた。ダニエル・りべスキントによってデザインされた不規則に斜めに交錯する天井と壁面に囲まれた空間は、決して展示しやすい場所という印象ではなかったのだが、今回複数の大型移動式パネルを採用することによって、俄然直立した壁面が増え、平面作品がみやすくなった。このパネルは今後も活躍するようで、これからの展示も楽しみに思えた。

本展覧会は2007年2月ロンドンのポートレイトギャラリー、そしてロサンゼルス、カウンティ美術館からの巡回展だとのこと。また良質な写真を一同に楽しめるような展覧会が来てくれたらいいな、と思う。
# by thinkaboutart | 2009-12-15 11:31 | 展覧会・イベント

トロントのアートスペース

Museums, Galleries in Toronto
Art Gallery of Ontario アートギャラリーオブオンタリオ
毎週水曜日6時ごろから無料開館。

Royal Ontario Museum ロイヤルオンタリオ美術館
毎週水曜日4時半から5時半まで無料開館。金曜日の夕方は半額。

私は上記2つでボランティアをしています。
しかしロイヤルオンタリオ美術館の通常大人入場券は28ドルという破格な高さ。これでは一般の人はほとんど足を踏み入れないのではないだろうかと心配になります。

The Power Plant Contemporary Art Gallery パワー・プラント
先進的な、あるいは重要な現代の作家、作品、企画を展示してくれるよい場所です。

Japan Foundation Toronto 図書館をよく使います。

陶芸専門の美術館 Gardiner Museum


現代カナダの作家を紹介する中型美術館 MOCCA

写真専門の画廊 質がよい Stephen Bulger Gallery

カナダの美術がたっぷり楽しめる、郊外の美術館McMichael Canadian Art Collection



Art Events
LUMINATO
初夏のころ、数週間だけトロントの中心部のいろいろなところで光を使った催しが繰り広げられる。

Nuit Blanche
秋の一夜だけの祝祭型アート・イベント。万人が参加するお祭りです。

bits 
日本語で書かれたトロントの情報誌 展覧会情報や現地の日本人作家さんたちによるコーナーもある

Toronto Public Library
トロント市立図書館 豊富な蔵書と配架サービス、分館の多さで使っています。
# by thinkaboutart | 2009-07-15 11:38

The Power Plant Gallery

偶然の流れでこれから何年かカナダのトロントに住むことになりました。

トロントで一番大きいのではないかと思われる現代美術のギャラリー、The Power Plantへ。
ダウンタウンの最南端、オンタリオ湖沿いに建つ1920年代の発電所を改装したスペース。
周辺には劇場、ギャラリー、工房などアートの複合施設Harbourfront centreがある。
ギャラリーのなかは大、中、小に別れ、私が行った時は3組の作家が3ヶ月ほどの期間展示されていた。
スペースは1987年にオープン。
レクチャーやギャラリーツアー、映画上映などの企画も多く、出版物も多く出している。

The Power Plant Gallery_d0063074_2214227.jpg


6月24日から9月はAnnie Pootoogook(1969-)(カナダ、イヌイット系)の展覧会とAngela Bulloch(1966- )(カナダ)の展覧会を開催。

9月23日からはMake Your Own Life: Artists In & Out of Cologneという、ドイツのケルン出身、あるいは活動中の作家28名(Martin Kippenberger, Mike Kelley, Rosemarie Trockel など)による展覧会を開催。
# by thinkaboutart | 2006-05-24 02:26

個人的に気になるイベント 日本、世界

1. Art Fair in Basel "Art 37 Basel" from June 14 – 18, 2006.
"The international art show features about 300 leading art galleries from 30 countries on all continents. Art Basel is the world's premier modern and contemporary art fair. 20th- and 21st-century art works by over 2000 artists will be on display. 55000 art collectors, art dealers, artists, curators and art lovers attend the annual meeting place of the art community."

2. 越後妻有トリエンナーレ2006
会期 :2006年7月23日(日)~9月10日(日)50日間
会場 :越後妻有2市町760km2 新潟県十日町市
(2005年4月に十日町市・川西町・中里村・松代町・松之山町が合併)、津南町
地震、大雪という天災を経験したあとの妻有。色々な意味で興味深い。

3. MoMA
"Dada" June 18–September 11, 2006
MoMAでやるダダの展覧会。どういう内容になるのでしょうか。

4. New Museum of Contemporary Art, N.Y.
# by thinkaboutart | 2006-03-24 19:35